敏感肌
敏感肌は、皮膚の衛生状態や使用する美容製品、外的要因(紫外線、寒暖差、外気)、ストレスに対する反応によって左右されます。
肌は敏感になると、赤みやかゆみが出たり、ピリついたり、乾燥状態に陥るなどします。
世界的にも、「敏感肌である」と感じている人の数は年々増加しており、 日本では、女性の56%、男性の53%が自分は敏感肌だと感じています。イギリスでは、女性の51%、男性の38%、アメリカでは、回答者の53%が同様に自分は敏感肌だと感じています。
敏感肌の症状
バリア機能の低下、炎症、肌の乾燥
皮膚の表面には、外的要因から肌を守るためのバリア機能が備えられています。
水分の蒸発を防ぐとともに、アレルギー源や有害な化学物質、微生物が皮膚の中に侵入しないように保護します。
敏感肌やアトピー肌は、このバリア機能が不完全な状態です。これは、細胞同士をつなぐと共に水分を保持する役目をする細胞間脂質のセラミドや脂肪酸が不足していることで、本来備わっているバリア機能が低下してしまうためです。
その結果、アレルギー源や化学物質のような様々な分子が、皮膚の中に侵入し、ピリつきや赤みなどの炎症を引き起こすことになります。
これは炎症反応を引き起こし、敏感肌で起こる刺激、赤み、および抗原に対して反応しやすくなる状態を作り出す原因となります。
さらに、バリア機能の低下によって、肌の水分を保持することが難しくなり、うるおい不足に陥り、肌が「つっぱる」ような感覚になります。
マイクロバイオームの乱れ
健康な肌には、1㎠あたり1,000,000の様々な種類のマイクロバイオームがバランスよく存在しています。マイクロバイオームは、私たちの皮膚に存在する微生物(細菌)で、病原性菌から私たちの皮膚を守ります。しかし、マイクロバイオームは私たちの肌が健康な状態でなければ存在できません。例えば、肌のバリア機能が低下したり、敏感肌やアトピー肌のように皮膚のphがアルカリ性に傾いていたりすると、マイクロバイオームは多様性を失います。バリア機能が低下することで、黄色ブドウ球菌のような病原性菌が皮膚に侵入しやすくなり、炎症反応や感染症さえも引き起こします。
敏感肌の原因
過度な抗菌・除菌と化粧品
敏感肌の問題を増やしてしまう二つの要因は、過度な抗菌・除菌と肌に合わない化粧品の使用にあります。刺激が強すぎる製品(洗剤または界面活性剤)やアルカリ性の製品(石鹸)の使用、または、熱いお湯で洗う時間や頻度が長すぎると、肌を傷めることになります。このように洗い続けると、肌の表面の油分を多く取りすぎてしまいます。また、また毎日多くの化粧品を使用することで、肌が敏感に傾く恐れもあります。
防腐剤、保存料
防腐剤や保存料の役割は、使用者にとって害となる可能性のある病原性菌から商品を守ることです。食品や化粧品で使用されている防腐剤や保存料は、実際にアレルギー反応を増加させる原因となっています。従来の化粧品に使用されている防腐剤や保存料(トリクロサン、フェノキシエタノール、パラベンなど)は、添加することによりバクテリアの繁殖を防ぎ、抑制します。しかし、マイクロバイオームを構成するバクテリアの数の増加も抑制してしまいます。ある研究によると、クリームやローションをつけることにより、表皮に存在するバクテリアの数を減らしてしまうということが判明しました。皮膚のマイクロバイオームは、私たちの肌を健康な状態に保つためにはとても大事な存在です。
外気の影響
乾燥した空気は、バリア機能が低下している肌にはとても悪影響です。乾燥した空気は、肌の水分濃度を減らし、炎症をより多く引き起こす原因となります。
冬は、屋内外の寒暖差により、さらに肌が乾燥しやすくなります。一方夏は、紫外線や汗により、肌がピリついたり、炎症を起こすことがあります。
これは炎症反応を引き起こし、敏感肌で起こる刺激、赤み、および抗原に対して反応しやすくなる状態を作り出す原因となります。
さらに、バリア機能の低下によって、肌の水分を保持することが難しくなり、うるおい不足に陥り、肌が「つっぱる」ような感覚になります。